陸上部卒業論文

2018年度 卒論
三浦みなみ卒論.pdf
「プレショットルーティーンは競技力を向上させる」
2014年度卒業 齋藤さん卒業論文











「マラソンにおけるシューズとランナーの関係性〜なぜケニアのランナーは世界記録を出したとき、ジョグシューズで走ったのか?〜」
2014年度 飯盛君卒業論文















2013年度卒業 松家さん卒業レポート
本校では、3学期の取り組みに卒業レポート・卒論作成というものがあります。2013年度3年生で陸上部の松家さんが卒業レポートで陸上部をテーマにしたので紹介します。

陸上部は団体競技か

スポーツ健康学部スポーツ健康学科進学
松家はるな

はじめに

"陸上って走るだけでなにがたのしいのか。一人で辛くないのか。"
私が今まで、陸上をやってきて何度も聞かれたことがこれだ。しかし、これまで陸上に携わってきてこれらの質問を聞かれるたびに思うことがあった。それは、陸上競技というのは、"陸上競技をやっている人にしか分からない達成感があり、仲間とともに走ることによって得られるものがたくさんあるスポーツであること。決してひとりだけの力では成すことのできないスポーツであること。"法政高校の陸上部として活動をしてきたこの2年半、顧問の先生、コーチ、仲間、ライバルといった様々な人と出会い、ともに切磋琢磨しながら陸上に楽しみを感じていた。そんな環境がわたしを"陸上は個人競技"という概念から"陸上部は団体競技"という概念に変えたのだった。一般的に陸上競技は個人競技と言われている。陸上部での様々な経験を振り返って今回、この機会を利用して改めて考えてみたい。

第1章個人競技と団体競技

一般的に個人競技とは、「個人の間で勝敗を争う競技」、「個々の競技者が得点やスピードを競い合う競技」などと言われている。その対義語はもちろん、団体競技である。団体競技は「団体同士が対抗して行う競技」などと解釈されている。またほかの解釈としてこんなものがある。スポーツにおいて、「アメリカ起源のものは団体競技、日本起源のものは個人競技である」という考えである。アメリカ起源の代表的なスポーツといえば、ベースボール、アメリカンフットボール、バスケットボールが挙げられ、ベースボールは1チーム9人、アメリカンフットボールは1チーム11人、バスケットボールは1チーム5人の団体戦である。一方、日本起源の代表的なスポーツといえば、柔道、相撲、剣道といずれも個人競技である。このような考えが世間一般的な解釈なのである。しかし私は部活動においてはほかにも解釈の仕方があるのではないかと考えた。それは団体競技とは"チームワーク"を必要とする競技であり、"チーム"として取り組みをしている競技であるということ。だから陸上部は一概にも個人競技であるとは言えないのである。

第2章 チームワーク

団体競技に必要だと考えるチームワークをわたしは、"集団に属しているメンバーが同じ目標を達成するために行う行動。"つまり言い換えると、目標を達成するために集まった集団であると考えた。これは陸上部に当てはまると思う。わたしはこの法政高校の陸上部で様々な経験をしてきた。たしかに陸上競技は一般的に個人競技と言われているくらいなので、練習や試合も最終的には自分との闘いだと多くの人が考える。けれど、自分と闘うために死ぬ気で走り、自分の限界まで挑戦をすること、練習で負荷をかけ続けることは一人ではできないと思う。部活動でよく見かける、走っている選手に対して周りの選手が"ファイト!!"と声をかけ合うところにもチームワークというものが存在する。キツイ練習でも、部員と共に辛さを味わい、部員全員で励まし合い、切磋琢磨して部活を作り上げていく姿はまぎれもなく陸上部は団体競技であることを示しているのだ。部活の合宿では、最後の一人が走っている雨の中、自分は走り終わって疲れているのにもかかわらず、最後には何人かの選手がその選手と並走してともにゴールをした後継を目の当たりにして、きっとそのようなさりげない行動ができるのは、部活が一つの目標に向かっている"チーム"になっているからであり、またこの時わたしは強くチームを感じたのであった。なかでも駅伝は正真正銘の団体競技と言えるだろう。一つの襷を決して途切れさせることなくつなげる。実際に駅伝を走ってみて、仲間をあれほど強く感じたことはほかにないのではないかというくらい仲間の存在は大きかった。辛い練習の時私の頭の中にはいつも、みんなで喜んでいる姿があった。決して一人で喜んでいる姿ではない。自分の一秒がチームの一秒。この言葉をしつこいくらい自分の頭に叩き込んで辛い練習も仲間と共に乗り越えてきた。苦しいのはたった数分。その一瞬のために努力をし続けることができた背景には必ず仲間の存在があった。仲間が待っている。仲間は次第に一つのチームとなってゆく。そんな駅伝も歴とした団体競技なのだ。リレーにおいても同じことが言える。4人の選手全員が試合当日に100%の力を出すことは難しい。それでも良い成績を残せるのはなぜかと考えたとき、そこにはやはりチームワークという言葉があった。自分のミスがチームの0.1秒を大きく左右すると考えるとマイナスにとらえがちだが、それは逆に自分の調子の良さがチームの0.1秒を大きく左右すると言い換えることができる。仲間のために、チームのために自分の100%をだしてバトンをつなぐリレーも団体競技であるのだ。

第3章 陸上の団体競技

 陸上の試合では実際に走るのは自分であり、陸上は個人競技であるという意見が多い。わたしはそうとは思わない。ある文献によると、「個人競技のよいところは、個人が努力すれば、その分だけ上を目指せることである。団体競技の球技では、いくら自分だけが努力しても、チーム全体が同じ気持ち(球技は個人競技の集合体)でしっかり取り組まなくては上にいけないのである。ただし、その「個人」という意味が「自分だけ」「わがまま」「人との関わりを避ける」など、マイナス面を出してくると、「スポーツを通して人間育成」という目的から離れてしまうのだ。」と書いてある。まさにその通りである。だからこそ、陸上部は「団体競技」でありたいのだ。個人での活躍の場が多いからこそ、まわりの力も必要となり、仲間意識をもちながら取り組む。それが部活動における陸上競技なのだ。

第4章 まとめ

よいチームというのは、予想以上にチームの成績が伸びることがあったり、力を発揮する選手の割合が多くなることがある。どの県にも強い選手が毎年いるが、よい取り組みをしている学校は、毎年継続して強い選手が出てきている。それは、個人競技でなくチームになっているからであると思う。大規模校、小規模校の違い(ハンデ)はあるが、陸上の大会では、団体総合優勝にこだわる、リレー・駅伝にこだわる、「全員陸上」をいつも目指すことが大切だと思う。よいチームは、一人ひとりが自己ベストにこだわり、一覧表に載る8位入賞にこだわり、0.01秒の積み重ねにこだわり、しっかりした応援にこだわり、具体的な目標をもって大会に臨んでいる。そんなチームを作り上げるには、仲間の存在が必要不可欠となる。同じ目標をもってともに成長し合える環境で陸上というものに熱中できたのも、やはり部員や顧問の先生、両親、応援してくださる人々のおかげである。わたしはその人たち全員が一つのチームであるといってもいいと思っている。だから陸上部は団体競技なのだと思った。個人競技では味わえることのできないすばらしい経験をでき、決して自分ひとりでは出せない力を仲間がいることで、出すことができるといった仲間の存在を大きく感じることができるのは団体競技の良さである。またその、仲間の存在によって出せる力というのは団体競技が掛け算であることを示している。1人でも0がいたら、チームは0となってしまう。しかし、たとえ一人ひとりの力が弱くてもチームとなれば掛け合わされ、大きな力を生み出すことができるのだ。これがチームで成り立つ団体競技の魅力である。

おわりに 

強いチームにこだわることはもちろん必要なことであるが、お互いを尊重し合い、良いチームを目指すことが陸上部という団体競技をさらに深く楽しめる秘訣だとわたしは思う。決して自分は一人の力で走っているわけではないのだ。




2012年度卒業 瀧澤さんの卒業レポート
評論の内容を書きます[はじめに]
 本校では、高校3年生の3学期を利用して、卒業レポートおよび卒業論文を作成するというプロジェクトがあります。陸上部の瀧沢さんが作成し、グループの代表生徒として選出され、発表したレポートを掲載します。
  メンタルトレーニングと呼吸の重要性

     スポーツ健康学部スポーツ健康学科進学
                     瀧澤真弥
「スポーツで勝負をするなら勝ちたい。」私を含め、そのように思う人は多い。きつい練習を積み重ねて臨んだ大会では、自分の実力を100パーセント出し切りたいとスポーツをする人は感じているはずだ。3年前の私は、試合で緊張したり自信をなくしたりすることは、しょうがないことであり、実力を100パーセント出しきることは、私自身ではどうすることもできないと思っていた。しかし、私は自分自身で自分をコントロールし、勝利に導く方法をこの高校3年間で手に入れた。私は陸上部に所属していた。顧問の先生は自らも生徒とともに走る先生で、走ることの楽しさと走る上での知識をたくさん教えてくれた。その中にメンタルトレーニングというものがあった。メンタルトレーニングとは、スポーツ心理学の理論を学び、その理論を使って実際に心を整える練習のことだ。このメンタルトレーニングとの出会いが私の陸上人生も、陸上以外でのことも、良い方向へ大きく変えてくれた。メンタルトレーニングと陸上に不可欠な呼吸に関係があると知り、この卒業レポートでの研究で深めてみたい、考えてみたいテーマとした。

試合前、大会前、誰もが緊張を経験する。陸上ならスタートダッシュを失敗したらどうしようとか、リレーのバトンパスをミスしないかなとか、駅伝の自分の区間を無事走り切り仲間にちゃんとタスキを渡せるかなどが心配になり、緊張につながる。そのような緊張が失敗につながっていることが多い。では、緊張しないためにはどうすればよいのか。
大会前は、心配事を想像するのではなく、その大会を通じてなりたい自分、なっていたい自分を想像する。例えば、100メートルを走る場合、まずスタート地点に立つ自分をイメージする。これは応援席からの第2者から見た自分をイメージするのではなく、自分がスタート地点に立った時の自分の目から視線や風景をイメージする。そして、足を高く上げたいとか、腕を大きく振ることとか、自分が実現したい走りを考え、それらをすべて実現している自分をイメージし、一番にゴールラインを切って喜ぶ自分までを想像する。人は初めてのところに放り込まれた時、心の整理がつかず、混乱し緊張してしまう。このように、あらかじめ一部始終を頭の中に入れておくと一度見ている景色なので、混乱することもないし、自分を有利な方向に持っていくことができる。試合会場をあらかじめ見学すると勝利する確率が高いのはこのためである。大会当日はポジティブなことだけを考えるように心掛ける。バトンの受け渡しや、スタートダッシュなどの心配事は前日までに考えて、心を整えておく。これらは、実際に私が現役の時にしていたイメージトレーニングとである。

では、緊張はイメージするほかに解消することはできるのか。ここに呼吸が大きくかかわってくる。深呼吸をすると緊張がほぐれ、リラックスできる。走り終わって息が上がっている時でも、次の走りには息が整ってスタートしたい時は深呼吸を使う。深呼吸はこれらの効果だけではなく、集中力を高めることや気持ちの切り替えにも役に立つ。深呼吸はただ息を吸って吐くだけではない。目を閉じ、顔を上げ、鼻から息を吸い、息を吸うときの3倍の時間の時間をかけて、口から息を吐き出す。これを繰り返すことによって効果が得られる。顔を上げるのはポジティブな状態に自分をコントロールするためである。うつむいて下ばかり見ていると、ネガティブになりやすいからだ。このことは、私が参考にした本にも書いてあった。ネガティブになりやすい時や緊張している時、心配事があるときは、息を吸うときに実際にあってほしい楽しい出来事、嬉しいことなどを吸いこみ、息を吐くときはネガティブになっている原因、心配事を吐き出すイメージをしながら深呼吸する。試合前に緊張している時以外でも、日常でいやなこがあったなど時などでも活用できる。
呼吸はどんな時でも重要である。同じ陸上でも、短距離と長距離では呼吸のしかたは変わってくる。走るということは陸上以外のスポーツにも関わってくるし、呼吸は陸上に限らず、水中でも重要である。

このメンタルトレーニングや呼吸の大切さを高校で知り、将来はスポーツが好きな人でも試合や大会で実力が発揮できなくて困っている人や、スポーツがもともとあまり好きではない人にメンタルトレーニングの重要性やスポーツをすることで得られるたくさんのことや楽しさを伝えられるような、なんらかの形でスポーツに関係のある仕事に就きたいと思った。大学でもスポーツに関われたらいいなと思い、スポーツ健康学部を志望した。幼いころから体を動かすことが好きで、毎日のように外で走り回っていた。小学校でも中学校でもリレーの選手に選ばれたり、ハードルで学年一位になったり、足には自信があったけれど、陸上部に入部してまでは走ろうとは思っていなかった。しかし、高校に入学し陸上部に入り、たくさんのことを吸収できた。陸上部で得た目標を立てる大切さ、顧問の先生、コーチ、仲間との信頼関係、そしてもちろん今回のテーマにしたメンタルトレーニングと呼吸の大切さ、楽しさを得ることができるスポーツを大学でも続けていきたい。大学ではこれらのテーマをもっと深く学び、私の中の知識のレベルを高いものにしたい。私が陸上をする中で、メンタルトレーニングとの出会いは偶然だった。けれども、この偶然を生かして、将来なりたい自分になろうと思う。

参考文献:
永田晟 『呼吸の極意』 株式会社講談社 2012年6月25日 第3刷発行

大儀見浩介 『自分を高める36のスポーツイメトレ』  合同出版株式会社 2012年5月25日 第1刷発行


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