評論の内容を書きます[はじめに]
本校では、高校3年生の3学期を利用して、卒業レポートおよび卒業論文を作成するというプロジェクトがあります。陸上部の瀧沢さんが作成し、グループの代表生徒として選出され、発表したレポートを掲載します。
メンタルトレーニングと呼吸の重要性
スポーツ健康学部スポーツ健康学科進学
瀧澤真弥
「スポーツで勝負をするなら勝ちたい。」私を含め、そのように思う人は多い。きつい練習を積み重ねて臨んだ大会では、自分の実力を100パーセント出し切りたいとスポーツをする人は感じているはずだ。3年前の私は、試合で緊張したり自信をなくしたりすることは、しょうがないことであり、実力を100パーセント出しきることは、私自身ではどうすることもできないと思っていた。しかし、私は自分自身で自分をコントロールし、勝利に導く方法をこの高校3年間で手に入れた。私は陸上部に所属していた。顧問の先生は自らも生徒とともに走る先生で、走ることの楽しさと走る上での知識をたくさん教えてくれた。その中にメンタルトレーニングというものがあった。メンタルトレーニングとは、スポーツ心理学の理論を学び、その理論を使って実際に心を整える練習のことだ。このメンタルトレーニングとの出会いが私の陸上人生も、陸上以外でのことも、良い方向へ大きく変えてくれた。メンタルトレーニングと陸上に不可欠な呼吸に関係があると知り、この卒業レポートでの研究で深めてみたい、考えてみたいテーマとした。
試合前、大会前、誰もが緊張を経験する。陸上ならスタートダッシュを失敗したらどうしようとか、リレーのバトンパスをミスしないかなとか、駅伝の自分の区間を無事走り切り仲間にちゃんとタスキを渡せるかなどが心配になり、緊張につながる。そのような緊張が失敗につながっていることが多い。では、緊張しないためにはどうすればよいのか。
大会前は、心配事を想像するのではなく、その大会を通じてなりたい自分、なっていたい自分を想像する。例えば、100メートルを走る場合、まずスタート地点に立つ自分をイメージする。これは応援席からの第2者から見た自分をイメージするのではなく、自分がスタート地点に立った時の自分の目から視線や風景をイメージする。そして、足を高く上げたいとか、腕を大きく振ることとか、自分が実現したい走りを考え、それらをすべて実現している自分をイメージし、一番にゴールラインを切って喜ぶ自分までを想像する。人は初めてのところに放り込まれた時、心の整理がつかず、混乱し緊張してしまう。このように、あらかじめ一部始終を頭の中に入れておくと一度見ている景色なので、混乱することもないし、自分を有利な方向に持っていくことができる。試合会場をあらかじめ見学すると勝利する確率が高いのはこのためである。大会当日はポジティブなことだけを考えるように心掛ける。バトンの受け渡しや、スタートダッシュなどの心配事は前日までに考えて、心を整えておく。これらは、実際に私が現役の時にしていたイメージトレーニングとである。
では、緊張はイメージするほかに解消することはできるのか。ここに呼吸が大きくかかわってくる。深呼吸をすると緊張がほぐれ、リラックスできる。走り終わって息が上がっている時でも、次の走りには息が整ってスタートしたい時は深呼吸を使う。深呼吸はこれらの効果だけではなく、集中力を高めることや気持ちの切り替えにも役に立つ。深呼吸はただ息を吸って吐くだけではない。目を閉じ、顔を上げ、鼻から息を吸い、息を吸うときの3倍の時間の時間をかけて、口から息を吐き出す。これを繰り返すことによって効果が得られる。顔を上げるのはポジティブな状態に自分をコントロールするためである。うつむいて下ばかり見ていると、ネガティブになりやすいからだ。このことは、私が参考にした本にも書いてあった。ネガティブになりやすい時や緊張している時、心配事があるときは、息を吸うときに実際にあってほしい楽しい出来事、嬉しいことなどを吸いこみ、息を吐くときはネガティブになっている原因、心配事を吐き出すイメージをしながら深呼吸する。試合前に緊張している時以外でも、日常でいやなこがあったなど時などでも活用できる。
呼吸はどんな時でも重要である。同じ陸上でも、短距離と長距離では呼吸のしかたは変わってくる。走るということは陸上以外のスポーツにも関わってくるし、呼吸は陸上に限らず、水中でも重要である。
このメンタルトレーニングや呼吸の大切さを高校で知り、将来はスポーツが好きな人でも試合や大会で実力が発揮できなくて困っている人や、スポーツがもともとあまり好きではない人にメンタルトレーニングの重要性やスポーツをすることで得られるたくさんのことや楽しさを伝えられるような、なんらかの形でスポーツに関係のある仕事に就きたいと思った。大学でもスポーツに関われたらいいなと思い、スポーツ健康学部を志望した。幼いころから体を動かすことが好きで、毎日のように外で走り回っていた。小学校でも中学校でもリレーの選手に選ばれたり、ハードルで学年一位になったり、足には自信があったけれど、陸上部に入部してまでは走ろうとは思っていなかった。しかし、高校に入学し陸上部に入り、たくさんのことを吸収できた。陸上部で得た目標を立てる大切さ、顧問の先生、コーチ、仲間との信頼関係、そしてもちろん今回のテーマにしたメンタルトレーニングと呼吸の大切さ、楽しさを得ることができるスポーツを大学でも続けていきたい。大学ではこれらのテーマをもっと深く学び、私の中の知識のレベルを高いものにしたい。私が陸上をする中で、メンタルトレーニングとの出会いは偶然だった。けれども、この偶然を生かして、将来なりたい自分になろうと思う。
参考文献:
永田晟 『呼吸の極意』 株式会社講談社 2012年6月25日 第3刷発行
大儀見浩介 『自分を高める36のスポーツイメトレ』 合同出版株式会社 2012年5月25日 第1刷発行
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